■ 11/27 名古屋市民会館

やっとツアー初日を迎えた。不安の残るスタートである。メンバーの変更、不十分なリハーサル、岡村本人の体調が悪い、こんなんでツアーを乗り切ることができるのか、とても心配だ!!。でもその不安を打ち消すような天気。青空。心配していても、仕方がない!!スタッフは一生懸命仕込んでいた。それを見ていると、頑張るしかないと決意がわいてくる。

東京駅に着いたのが新幹線の出発時刻。スタッフの方に、本人だけは新幹線に乗せてもらい、山本だけが遅れた。ツアー初日から大変なことをしてしまった。2本遅い新幹線で名古屋に着いた。車中、いろんなことを考えながらの2時間だった。会館に着くと、みんなから 「だせー」 の声。穴があったら入りたい心境である。

でも、なんとかサウンド・チェックまでには間に合った。ツアー初日ということもあり、サウンド・チェックは通常より長い時間行われた。その後、メイクに入る訳だが、段取りが決まっていない為、これも予想以上に時間がかかった。又、衣装も未完成だった。楽屋は開演時間を待つスタッフと、メイク etc を行うスタッフとで緊張した時間が過ぎていく。

やっとのことでスタートしたが、1時間も押してしまう。バンドのメンバーも、リハーサルとホールでの演奏は勝手が違うようで、今一つ乗っていない。又、本人から出るきっかけもタイミングを取るので一生懸命。スタッフも同様である。ステージは予定された進行で進んでいたが、スタート時間が遅れたため、予定していた演奏ができなくなる。弾き語り、「妻になってよ」 「Out of Blue」 とも、残念だが打ち切ることを決定する。どても残念だ!!本人の体調も限界にきていた。

“名古屋を見に来てくれたファンの方には、とても申し訳ないことをしました。ごめんなさい。”

本番終了後、ただちにホテルに入り、休む。ステージが最後までできなかったことがとても残念という気持ちで、次の会場では最後まで演奏しようと誓い、眠りについた。

■ 12/4 仙台サンプラザ

12:10 に盛岡を出発。仙台駅に着いたのは13:29。ホームにはキョードー東北、山口・小田氏が出迎えてくれた。天気はすごく良く、ライブ晴れである。タクシーに乗り、仙台サンプラザへ向かう。新しい会館でとても気持ちが良い!!

岡村自身初めての会館である。メンバーとは別行動のため、会館にはスタッフに次いで二番目に着いた。楽屋も綺麗で、これから始まるライブに気持ちを新たにした。すぐにサウンド・チェックである。Dr→B→G→Key→Cho→ホーンセクション、と続く。そして、岡村が入ってチェック曲をおさらいする。名古屋とは違って、スムーズにリハーサルが進行し、お客さんを18:00~に入れ始めた。本番10分前、1ベルが鳴る。そして、メンバーがステージの袖にスタンバイ。そしてオープニング。仙台のお客さんはパワーがある!

コンサートは順調に進み、名古屋でできなかった弾き語りを始める(萩の月がとび出し、お客さんは大喜び)。それから、新曲 「妻になってよ」 に続く。コンサートが終わったのが21:00前になるだろうか。たくさんの人が楽屋口で待っていた。寒そう!!

それから打ち上げ会場に向かう。仙台の郷土料理を食べた。私は、昨日(青森キャンペーン)と同じ刺身が出て、二日続けて刺身を、それもおいしい刺身を食べたのは初めてだった。とても感動!!

夜遅くまで今日の反省と、明日の大阪でのコンサートの打ち合わせが続いた。

■ 12/5 大阪フェスティバルホール

天気は最高!! 大阪空港に着くと、まだ初秋のように暖かく、初めてのホールに少し緊張気味で会館に着いた。

“ステージは広いが、楽屋が狭い。”コンサートも回数を重ねると慣れたもので、リハーサルはスムーズ!! 開演が30分も遅れたのは問題だ。

打ち上げ会場、簡単な食事を終え、体を動かす?その後、大阪に来ると必ず食べるものがお好み焼きである。今回も例に漏れず、食べたくなった。

岡村、2:00頃から道頓堀の辺りでお好み焼き屋を探しながら歩き回る。通りがかりの人に聞いてみるが、なかなか見つからない。たこ焼き屋も一緒に探したが、有名なお店は閉まっていた。やっと探したお好み焼き屋だが、あまりおいしくない。でも、腹一杯食べてホテルに戻って寝た。

■ 12/8 福岡サンパレス

福岡空港へ着いた。タクシーの中で運転手さんと雑談する。本番中の弾き語りのネタは、ほとんどがタクシーの運転手さんから聞くのがいつもである。年末が近いということもあり、タクシーの運転手さんも忙しいようである。話の内容は 「バブル崩壊の影響もあるがぼちぼちです」 との話。

会館に着いた。開演まではどの会場とも同様で、スムーズに進行した。本番がスタートし、本人もペース配分を心得たのか、最後まで乗り切る。弾き語りの時間はどの会場でも決まっていないが、このツアーで一番長いのが福岡だったような気がする。

さあ!!打ち上げだ!!郷土料理を食べる。メンバーもツアーに馴れたようで、飲めや歌えのどんちゃん騒ぎになる。その中で、本人だけがお酒が飲めないので、さみしそうであった。

しかし・・・ディスコへ出かける!! 教えてもらったディスコが分からず、探しまわったあげく一つ見つけるが、そこも少しだけいてホテルへ戻る。その後は・・・

■ 12/11 広島アステールプラザ

福岡が終わり、疲れがとれないまま、広島へ向かう飛行機に乗った。一時間と少しの時間、何もすることもなくただ眠るだけだった。空港に着くと 「寒い」。コンサート終了後、ホテルに戻ってTVを見た時にわかったことだが、今年一番の寒さだった。

空港からタクシーに乗り、できて間もない “広島アステールプラザ” に着く。岡村はこの会場は初めてである。気分も一新である。川のほとりにできた、とても綺麗な会場で、ここに向かうタクシーの中で原爆ドームがちらっと見えた。世界の広島と言われるだけあり、事実から目をそらしてはいけない。明日見に行こうと思ったのは、自分だけではなかった。

会場に入り、サウンド・チェック、メイクと順調に進行する。今日は定刻通りスタートか!!と舞台監督と話をしたが、でも30分も押してしまった。コンサートは順調そのものである。弾き語りでは 「広島ベイビー」 「お好み焼き」 と軽快に飛び出し、「友人のふり」 の大合唱は特に元気があったような気がする。

本番終了後、すぐ会場を後にした。恒例の打ち上げである。かきと刺身で、今日のライブの反省、次の打ち合わせを含め、スタッフ・メンバーが夜遅くまで盛り上がる。

明日は早いのにみんな大丈夫だろうか?

■ 12/16 北海道厚生年金会館

千歳空港に着いたが、昨年来たところと違う、新千歳空港に着いた。東京にいると、あまり地方のことは感じないのか、成田空港が新しくなったのは知っていたが、千歳空港が新しくなったのは知らなかった。でも、とても綺麗でびっくりした。北海道を後にするときも同じ空港だったが、広くて初めての人は間違えるくらいだ。又、商店街が入っているようで、おみやげ屋さんとか、食事のできる場所がたくさんあり、その中で、カニ料理をたくさん、お腹いっぱい食べて千歳空港を後にした。

本番が終わり、楽しみにしていた打ち上げに出発。その日は、昨年一番の寒さだったようで、道路はアイスバーン状態。厚着をして来たつもりだったが、とても寒いのには驚いた。食べ物は超おいしかった。たくさん食べ過ぎて、動けなくなるくらいであった。その後、スタッフと合流し、朝まで飲んだ。

山本は、せっかく北海道に来たのだから時計台へ行きたいと思い、ローディーさんと一緒に行く。後でスタッフから 「ミーハー」 と言われた。記念だと思い、写真に残しておこうと撮影をした。しかし全てブレていて、何が写っているのかわからない状態だった。

11/27、名古屋市民会館をスタートし、今日の北海道厚生年金会館が地方の最後である。音もやっとまとまりを見せはじめた。東京ベイNKホールに向けて、まだ少し不安が残るが、でも終わってみると最高のツアーだったように思う。メンバーが急に変更になり、大変なツアーになると思っていたが、予想に反し、昨年のメンバーとは違う次元でまとまりを見せたように思う。又、ステージ衣装は、メンバー各自にまかせてある為、この会場ではこうしようと楽しみにながら決めていたのが、とても印象に残った。

又、NEWアルバムも出さないのに、ツアーをやってお客さんが入るのかと心配をしたが、どの会場も最高のノリで、とても満足。残す東京ベイNKホール二日間、「禁じられた生きがい」 ツアーのファイナルで完全燃焼しようと、メンバー・スタッフを話しながら東京へ戻った。

12/25、東京ベイNKホールの前日、仕込み日。「禁じられた生きがい」 ツアーも、あと2日で終わろうとしているが、スタッフ全員、まだやり残した事があるような気持ちでこの日を迎えたと思う。私も、少し緊張気味で仕込みに立ち会った。何もなかったステージに、今まで見てきたステージが作られていく。たくさんのスタッフが大声を出しながら。そして、アリーナには席がなく、体育館のように広いだけのところに席が並べられていく。「たいしたもんだ!!」 と感心した。それから照明やPAのチェックである。夜遅くまでその作業は続けられた。

■ 12/26 東京ベイNKホール

「禁じられた生きがい」 ツアー最終公演場所の一日目である。天気は朝から最高。心配していた道路事情も問題なく、予定された時間にNKホールに入ることができた。

メンバーは一時間半も前に入っていた。それはビデオ撮りがある為で、サウンド・チェックに時間がかかるということで、早くNKホールに入った。私たちが入った時はサウンド・チェックの音が響いていた。楽屋に入るとすぐ呼びに来た。全員のサウンド・チェックである。しかし、予想していた時間よりは早く終わる。

開演の待つ間、ロビー、会館の外に出てみた。寒いのにたくさんのファンの方が集まって、開場を待っている。ロビーも開場にそなえての準備はOK。

本番もスタート!!久しぶりの大きなホール。お客さんの声が聞こえづらいようで、120%の声をふりしぼって演じている。スタッフもメンバーも、気持ち良さそうにステージを進める。「禁じられた生きがい」 ツアーで、一番お客さんが盛り上がった日である。

しかし、本人の頑張りぶりに明日が心配になったのは、山本だけか?

■ 12/27 東京ベイNKホール

とうとう最終日を迎える。やり残したことはないかとチェックしながら、会館へ向かう。スタッフもスタンバイしていた。リハーサルは順調に進行。本番を待つだけである。

最終日をこんな満足した気持ちで迎えられるとは、ツアーリハーサルをやっていた10月後半から11月にかけての時期には、考えもつかなかった。しかし、スタッフ、メンバーの協力があって、今日を迎えられたことにとても感動している。又、行く会場全てに、暖かいファンの方の声援をもらい、とても元気づけられたツアーだった。こんな事を一人思いながら、ステージ裏のガラス張りの場所から、海を見ていた。

東京ベイNKノールの二日目を振り返って残念だったのが、PAシステムのトラブルである。オープニングからトラブル発生で長い時間続いた。でも、盛り上がりは一日目を越える勢いだった。この日を終えて思うことは、お客さんのパワーはすごいということである。

演出の一つに風船が出された。その風船にデザインがされていた。覚えている人もいると思うが、それを書いたのは本人である。

■ 後記

「NEWアルバムがリリースされる」 と言いながら、未発表のままツアーを2本もやってしまった。特に、大阪と東京のファンのみなさんは不満もあるのではないかと思います(アンケートを見せてもらった結果)。

しかし、スタッフとしては全く違ったツアーであり、新しいものをやる以上に緊張した2つのツアーだったと思う。それは、メンバー、スタッフの変更があったという物理的な理由もあるが、ツアー会場それぞれの違った雰囲気で、やり直しがきかない、そしてプロという意識の下で仕事を行っているからだと思う。

岡村靖幸のライブは、基本的にゲネプロで決まるが、本番会場ごとのハプニングがあるため、その場その場が勝負だった。あるスタッフは 「 “Live Tour '91” では胃に穴があいた」 と言っていた。そして 「 “禁じられた生きがい” では胃が溶けた」 と言っていた。華やかに見えるステージの裏では 「死ぬか生きるか」(これは言い過ぎではない)という場面がたくさんあった。

そんな状況の中、ほっとする瞬間は、ファンのみんなが盛り上がってくれた時であり、2時間半という短い時間、何もかも忘れて岡村靖幸一色になってもらえた時(そのステージ・会場を見て)が、岡村靖幸のスタッフ一員で良かったと思える瞬間である。

ファンのみなさんは、ステージ上(コンサート会場)で、岡村靖幸に一番注目するであろう。しかし、彼を取り巻くスタッフとして今回30名がツアーを回り、その一人一人の頑張りがあって、コンサートが成り立っていることにも注目してもらいたい。

とにかく無事で終わったのは何よりである。次のツアーであるが、「禁じられた生きがい Part 2」 が実現するかどうかは、6thアルバムのリリースにかかっていると言っていい。その為にも、現在レコーディングを再開し、もう少しのところまで来ている。

今年一年を一言で言うなら、開花、そして発展の年だろう。昨年までは、ツアーはやったものの花開かなかったように思う。しかし、千里の道も一歩からで始めた計画が、今年は開花するであろう。又、今年だけで終わるのではなく、次年へとステップup↑し、開花する年だろう。

そうしなければならないと、スタッフ一同決意している。